銘木館のご案内

長蔵スギ
 当センターでは、株式会社長谷川萬治商店会長であった故長谷川萬治氏【1891年(明治24年)~1976年(昭和51年)】が収集した銘木類を公開しています。この銘木類は、氏が、貴重な銘木が次第に入手し難くなってゆくことを惜しみ、昭和23年頃から、多大の苦心をはらいつつ30年にわたって収集されたもので、昭和52年の当センターの発足にあたり、氏のご子息である長谷川剛氏より寄贈を受けたものです。これら銘木類は、質・量ともに他に比を見ない貴重なもので、平成12年東京都の区画整理事業により試験研究所が移転することとなったのを機に、銘木保管庫を新築し、一般に公開するとともに、展示を兼ねて研究所本館(現センター本部)の内装などに一部を使用しています。
 

ご利用案内

開館時間 10:00〜16:00
入館料 無料
休館日 土、日、祝日、年末年始
    ※都合により開館日・時間を変更する場合があります。
所在地 東京都江東区新砂3-4-2
    公益財団法人日本住宅・木材技術センター内
     TEL 03-5653-7662 / FAX 03-5653-7582
 

ご注意

☆見学の方は必ず事前に連絡のうえ、お越しください。連絡先:03-5653-7663(総務情報部)
 団体で見学される場合は事前に銘木館見学申込書をご提出ください。
☆行事等ある場合は見学できませんのでご了承ください。
  • 安全のため、展示品には手を触れないでください。
  • 館内は禁煙です。
  • ペットを連れて入館することはできません。
 

当銘木館に収蔵している銘木(470点、材積 約194m³)

由緒ある木

春日局欅、笠懸の松
 

針葉樹

アカマツ、青森ヒバ、イチイ、イチョウ、木曽ヒノキ、ネズコ、クロマツ(三河マツ、水戸マツ、笠懸マツ、ヤニマツ)、スギ(長蔵スギ、春日スギ、霧島スギ、屋久スギ、秋田スギ、山形スギ、日光スギ)
 

広葉樹

イヌエンジュ、カエデ、キハダ、クス、クリ、クワ、ケンポナシ、サクラツツジ、シオジ、セン、トチノキ、ビャクダン、ミズメ、ケヤキ(春日局欅、気田ケヤキ、名古屋ケヤキ、群馬ケヤキ)
 
クワ・・・鏡台、茶箪笥の材料として最高。7代目菊五郎が襲名の際、鏡台を創って寄贈。
ビャクダン・・・香り、彫刻材、扇子に使う
 

こんな大きな丸太もあります

  • 長蔵スギ
 全部で18m³、長さ50m、樹齢500年、元の太いところは直径3m
  • ネズコ
 長さ17m、直径75cm、樹齢約350年
  • 群馬ケヤキ
 長さ17m、直径80cm、樹齢約250年
 

館内マップ

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銘木のいわれ・エピソード

当館の銘木の一部をご紹介します。
頭の丸囲い数字は、上記のマップの番号です。
 

① 長蔵スギ(ちょうぞうすぎ)

長蔵スギ(ちょうぞうすぎ)
樹齢500年、太さ3mの巨木
静岡県春野町産。気田川支流、京丸山の崖の上にあったもので、後醍醐天皇をかくまったと言われる藤原氏の子孫、藤原忠教氏より譲り受け、昭和51年に伐木。内部に空洞があると言われていたが、沢の水質や場所の状況から萬治氏は空洞がないと見抜いた。通常の手段での搬出は不可能なので木挽くに挽かせ(銘木木取)、ヘリコプターで運んだ。地元では水神スギと呼ばれていたが、萬治氏が長谷萬の「長」と保存するための「蔵」から「長蔵スギ」と命名した。
 

② クス

クス
目利きも驚いた、樹齢700年の巨木
福岡県太宰府産(樹齢700年)。本館玄関ロビーに盤が展示されている。大阪の市場に出たもので、原木は切り口に大きなウロがあり、落札されなかった。しかし萬治氏はウロが中まで無いことを見抜いて買った。この材の共板は、インドの日本寺の看板、赤坂迎賓館の日本庭園の待合室の椅子などに使われている。
 

③ ネズコ

ネズコ
藩制期から建築・家具用材として珍重
富山県黒部産。別名クロベ。材が神代スギに似ているので〈黒部スギ〉とも呼ばれる。芯が中心にあり伸びが良く、おとなしい感じの材。ネズコは日本特産の木で、富山県黒部産、木曽産がその代表として知られている。神代スギの代用の地、それ自体でも数寄屋建築の天井や網代用材、指物などの細工材料、家具用材として広く使われる。
 

④ イチイ

イチイ
赤坂迎賓館の茶室にも使われた銘木
赤坂迎賓館日本庭園の茶室(立禮の間)の棚はこのイチイの共板(同じイチイから取った板)を用いている。なお、同茶室は、谷口吉郎による裏千家でも表千家でもない独特の設計で知られる。仁徳天皇がこの木で笏をつくらせ正一位を授けたことで“一位(イチイ)”と呼ばれるようになったと言われる。床の間や茶室の他、工芸材としても広く使われる。
 

⑤ 一位丸太(いちいまるた)

一位丸太(いちいまるた)
庭木や一刀彫の材料としても使われる
表面が異常にでこぼこした木で、北海道では庭木として多く利用されている。比較的加工しやすく、仕上げ面も光沢があるため、岐阜・高山では一刀彫の材料として使われている。でこぼこしているので挽くのが難しく、木挽きは墨付けをしてから挽く。当銘木館にあるのは、台湾産のイチイである。
 

⑥ ケンポナシ

ケンポナシ
柔らかく味のある木肌をもつ
ケヤキに似ているが、ケヤキより柔らかく味がある。新宮殿にも使われている。7代目菊五郎邸の新築に際し、これで机を作り進呈、夫人に大いに喜ばれた。品よく柔らかな感触から、高級材として床柱や棚板などの建築材の他、家具調度品や文士の机などに使われた。また炉縁材としても最高と言われている。
 

⑦ サクラツツジ

サクラツツジ
極めて希な形状をもつ珍品
屋久島産。サクラツツジは正式名称だが、地元屋久島では“カワザクラ”と呼ばれている。ねじれた樹幹ときれいな小豆色の渋皮が特徴で、珍木として珍重され、主に床柱・茶室に利用される。また磨いてシタン、コクタンのテーブルの足に使われる。
 

⑧ 木曽ヒノキ(きそひのき)

木曽ヒノキ(きそひのき)
役者の檜舞台をつくった銘品
昭和40年代長野県で全国植樹祭が行われた際、天皇陛下の御息み所をつくるため上松営林署管内の木曽ヒノキを払い下げたが、時間的に不可能であることが分かり萬治氏が入手したものである。後日、菊之助が菊五郎襲名に際し、舞台を造ることになり、勘三郎夫人の母である故六代目菊五郎夫人が「昔から、役者の檜舞台という言葉があるのに偽物のヒノキでは困る。私が手に入れましょう」と萬治氏に依頼。この木曽ヒノキの共板で舞台を作った。
 

⑨ 笠懸の松(かさかけのまつ)

笠懸の松(かさかけのまつ)
茨城県指定天然記念物の由緒あるマツ
茨城県指定天然記念物として小坂神社の境内にあった。太古、「手力男の命」(天照大御神の天岩屋戸を押し開けたことで有名)がこの地に憩い傍らのマツに笠を掛けたことから「手力男の命・笠懸の松」と称せられた。このマツは一度枯死した。その後、源頼義父子が枯死の側に植樹、それがこの大樹であると言われてきた。しかし、マツ喰い虫にやられ枯死が予測されたため、昭和48年に伐採。県が競売に付し名古屋の業者が落札。豊田市に保管されていた。
 

⑩ ヤニマツ

ヤニマツ
飴色の光沢と美しい杢目が珍しい
静岡県千本松原産。これだけの杢目が出るヤニマツは希で、珍品である。床柱、床板に利用される。宮内庁に寄贈したことがある。ヤニマツ(脂松)は、アカマツやクロマツなどのうち、特に脂気の多いものを呼び、飴色の光沢とくっきりと力強い杢目が特徴。
 

⑪ 春日スギ(かすがすぎ)

春日スギ(かすがすぎ)
関西では一流の証。最高級の天井材
奈良県春日山産。春日大社の後背地で特別天然記念物指定“春日山原始林”一帯のスギをいう。保護林の中にあり、災害木以外には出ず、大変貴重。優雅な杢目があり、スギの代表的銘木の一つとして古くより賞用されてきた。天井材としては最高級のものとされており、特に関西ではこれを天井に使っていると一流の証明といわれた。
 

⑫ 屋久スギ(やくすぎ)

屋久スギ(やくすぎ)
世界遺産屋久島の比類なき長寿の木
1000年以上の自生したスギを屋久スギと呼ぶ。古い屋久スギの中には3000年以上といわれるものもあり、北米のセコイアと並ぶ長寿の木として知られている。当館所蔵のこの屋久スギは高名な画家が自分の絵の代金として受け取ったものを日本橋三越の介入で萬治氏が購入。思いのほか良いものであった。
 

⑬ 春日局欅(かすがのつぼねけやき)

春日局欅(かすがのつぼねけやき)
春日局ゆかりの銘木
愛知県産。三代目将軍家光の乳母・春日局は正保2年、三河の国設楽郡鳳来寺に参詣の途次、豊川進雄神社に参拝、その際豊川村民は道を開いたり橋を架けたりして歓待、それに応えて進雄神社境内に春日局が手植えして献じた。永く御神木として聳え立っていたが、昭和50年に枯死し、伐採されたものだ。ケヤキは根張りが強く風にも強いことから古くから神社、寺の境内、屋敷林などに植樹されたという。老大木からは良い杢目が現れ珍重される。
 

銘木とは

主なものとしては、以下のようなものがあります。
  • 材面の鑑賞価値が極めて高いもの(例:杢板、糸まさの板)
  • 材の形状が非常に大きいもの(例:大径木丸太、長尺一枚板)
  • 材の形状が極めて希なもの(例:サクラツツジ)
  • 材質が特に優れているもの(例:木曽ヒノキ)
  • たぐいまれな高齢樹(例:イチイ)
  • 入手が困難な天然木(例:天然カラマツ)
  • たぐいまれな樹種(例:ビャクダン)
  • 由緒ある木(例:春日局欅)
 

杢目鑑賞

木には、いろいろな杢目があります。
ここでは特徴的なものをいくつかご紹介します。
是非、銘木館で実物をご覧ください。
 

牡丹杢(ぼたんもく)

 ぼたんの花を思わせるような模様 ・・・(ケヤキ、ケンポナシ、ヤチダモ)
 

縮緬杢(ちりめんもく)

 繊維が縮れたように見える杢 ・・・(カエデ、トチ、ヤチダモ)
 

雲紋杢(うんもんもく)

 雲が重なり合っているように見える杢 ・・・(ネズコ)
 

筍杢(たけのこもく)

 木理が筍状をしているもの ・・・(普通の板目に見られる木目)
 

網杢(あみもく)

網杢(あみもく)
銘木界では黒柿と呼ばれ、珍重される。
木肌に黒い縞模様が入っているものをいう ・・・(クロガキ)
 
【 本館玄関脇の縁台になっています 】
と 

縮杢(ちぢみもく)

縮杢(ちぢみもく)
繊維が縮れたように見える杢 ・・・(シオジ、カエデ、トチ、ヤチダモ)
 
【 銘木館2階に立てかけてあります 】
 

笹杢(ささもく)

笹杢(ささもく)
木理が笹の葉のような模様を呈している ・・・(イチイ、スギ)
 
【 銘木館2階にあります 】
 

鶉杢(うずらもく)

鶉杢(うずらもく)
屋久スギなどのねじれの多い樹木から採れる ・・・(屋久スギ)
 

如隣杢(じょりんもく)

如隣杢(じょりんもく)
魚の鱗のように見えるもの ・・・(ケヤキ、タブ、ヤチダモ)
 

玉杢(たまもく)

玉杢(たまもく)
入道雲が重なったような模様 ・・・(ケンポナシ、クスノキ、クワ、ケヤキ)
 

葡萄杢(ぶどうもく)

葡萄杢(ぶどうもく)
ぶどうの房を連想させるような模様 ・・・(トチ、カエデ、クスノキ、ケヤキ、シキミ、ハルニレ)
 

蟹杢(かにもく)

蟹杢(かにもく)
蟹の甲羅のように見える杢 ・・・(ヤニマツ)